逆子とは

通常、出産が近づくにつれて赤ちゃんの頭は重くなり、子宮の出口である下側を向く「頭位(とうい)」という姿勢をとります。これに対し、頭が上(ママの胸側)にあり、足や腰が下にある状態を「逆子(医学的には骨盤位)」と呼びます。足が下にあるタイプや、あぐらをかいたような姿勢など、いくつかの種類がありますが、まずは現在の赤ちゃんの向きを医師に確認し、正しく把握することが大切です。

妊娠28週頃までは、子宮内にまだ余裕があり、赤ちゃんは羊水の中でくるくると自由に動き回っています。そのため、この時期の検診で逆子と診断される割合は3割から4割と決して珍しくありません。週数が進むにつれて赤ちゃんが大きく重くなり、頭が下で安定しやすくなるため、ほとんどの場合は特別な処置をしなくても自然に正しい向きへと戻ります。
逆子の分娩方法はどのように決まる?
逆子での経膣分娩は、赤ちゃんが出るときに頭が産道で引っかかるリスクがあるため、現在は多くの産院で「予定帝王切開」が基本方針となっています。一般的には妊娠36週から37週頃の健診で最終判断を行い、陣痛が来る前に手術日を設定します。これは、赤ちゃんを安全に産むことを最優先とした最も合理的で前向きな選択と言えます。
しかし、すべての逆子が必ずしも帝王切開になるわけではなく、特定の条件が揃えば経膣分娩を選択できるケースもあります。お母さんの骨盤が十分に広く、赤ちゃんの姿勢が安定しており、かつ緊急手術に即座に対応できる高度な医療体制が整っていることが条件です。希望する場合は、早めに医師へ相談し、対応可能な施設であるかを確認しておく必要があります。
当院では原則として逆子(骨盤位)の分娩は帝王切開となります。
逆子は直すことができる?
逆子体操
逆子を直すための代表的な方法が、重力を利用して赤ちゃんの回転を促す「逆子体操」です。四つん這いでお尻を高く上げる「胸膝位(きょうしつい)」や、仰向けで腰の下に枕を置く「橋隆法(きょうりゅうほう)」などがあります。大切なのは、お腹の張りに注意しながらリラックスして行うことです。寝る前の数分間など、無理のない範囲で習慣にしてみましょう。ただし、実施にあたっては必ず主治医の指示のもと行うこと、またお腹が張ったらすぐに中止することを心がけてください。
外回転術(がいかいてんじゅつ)
お腹の上から赤ちゃんを手で動かして、逆子を直す処置のことです。
手順1: 医師による事前の検査で実施可能か判断する
手順2: 張りどめ剤を点滴しながらお腹の上から回転させる
外回転術は、すべての妊婦さんが受けられるわけではありません。まず、超音波検査で赤ちゃんの大きさ、胎盤の位置、羊水の量などを詳細に確認します。また、子宮の形や過去の手術歴なども考慮し、安全に実施できるかどうかを慎重に判断します。リスクを最小限に抑えるため、医師から術中の合併症や緊急時の対応について十分な説明を受け、納得した上で進めることが重要です。
子宮が収縮していると赤ちゃんが動きにくいため、まずは子宮収縮抑制剤(張りどめ)を点滴します。お腹の筋肉がリラックスした状態で、医師がエコーで赤ちゃんの様子をリアルタイムに確認しながら、お腹の上から手でゆっくりと赤ちゃんの頭を下へ誘導します。
当院では外回転術は行っていません。
よくある質問と回答
寝る時の向きで逆子が治るというのは本当ですか?
- 赤ちゃんの背中が上を向くように、左右どちらかの横向きで寝る「側臥位(そくがい)」が推奨されることがあります。その場合は、赤ちゃんの背中の向きに合わせて医師から「右を下にして寝てください」といった具体的な指示が得られるはずです。
逆子が治る時に痛みや衝撃はありますか?
- 赤ちゃんが回転する際、グニュッとした大きな胎動を感じる方もいれば、全く気づかない方もいます。「痛い」というよりは「お腹の中が大きく動いた感覚」と表現されることが多いようです。
医師からのメッセージ
逆子と診断されると、これからの出産に対して不安に感じるのは当然です。しかし、赤ちゃんは自分にとって居心地の良い場所を探している最中なのかもしれません。まずは、お家でリラックスして過ごし、赤ちゃんに「頭はこっちだよ」と優しく語りかけてあげてください。
もし最終的に帝王切開という選択になったとしても、それはお母さんと赤ちゃんが安全に出会うための最善の方法と言えます。どのような分娩方法であっても、お母さんが命を懸けて赤ちゃんを産むという事実に変わりはありません。悔いのない出産を迎えられるよう、我々医療スタッフはお母さんとご家族に寄り添い、全力で応援します。
千葉西総合病院 産婦人科 幸本康雄
