妊娠・出産

流産・切迫流産とは?~種類別の症状・原因について~

流産とは?時期による定義の違い

流産(りゅうざん)とは、妊娠22週未満に妊娠が継続できなくなる状態を指します。

医学的には、赤ちゃんが外の世界で生きていける基準となる「妊娠22週」を境に呼び方が変わり、22週未満を流産、22週以降37週未満を早産と呼びます。流産の約8割は、妊娠12週未満の早い時期に起こる「早期流産」です。

妊娠週数と医学上の区分

区分時期(妊娠週数)特徴・名称
早期流産12週未満流産全体の約8割。原因の多くは受精卵の染色体異常
後期流産12週〜22週未満母体の要因(子宮の異常や感染症など)が増えてくる時期
早産22週〜37週未満赤ちゃんが外で生きられる可能性が出てくる時期
正期産37週〜42週未満赤ちゃんの身体が十分に育ち、いつ生まれても良い時期

状態によって異なる「流産」の種類

流産はお母さんの症状や赤ちゃんの状態により各種分類がされます。

流産の種類

種類赤ちゃんの状態主な症状(出血・腹痛)処置の必要性
切迫流産生存している出血や腹痛がある不要(安静が主)
稽留流産亡くなっている自覚症状なし(健診で判明)手術または自然排出を待つ
不全流産亡くなっている強い痛み、持続する出血必要(内容物の除去)
完全流産亡くなっている出血・痛みは治まりつつある不要(経過観察のみ)
進行流産亡くなっている激しい痛み、多量の出血緊急の処置が必要な場合あり
化学流産(胎嚢確認前)生理のような出血不要

切迫流産(せっぱくりゅうざん)

「流産」という名前がついていますが、まだ流産したわけではありません。赤ちゃんは子宮内で生きており、妊娠継続の可能性がある状態です。出血や腹痛が見られるため、「流産になりかかっている」という注意信号として捉え、医師の指示に従い安静にする必要があります。

稽留流産(けいりゅうりゅうざん)

赤ちゃんがお腹の中で亡くなっているにもかかわらず、出血や腹痛などの自覚症状が全くない状態です。妊婦健診のエコー検査で初めて判明することが多く、精神的なショックが大きいのが特徴です。放っておくと大出血につながる恐れがあるため、手術や自然排出を待つ判断が必要になります。

進行流産(不全流産・完全流産)

流産が始まり、子宮の内容物が出てきている状態です。

  • 不全流産: 赤ちゃんや附属物の一部が子宮内に残っている状態。激しい痛みや出血が続くことが多く、残ったものを取り出す処置(掻爬手術など)が必要です。
  • 完全流産: 子宮の内容物がすべて自然に排出された状態。出血や痛みは徐々に治まりますが、子宮内が綺麗になっているか確認が必要です。

化学流産(生化学的妊娠)

妊娠検査薬では陽性が出たものの、エコーで胎嚢(赤ちゃんの袋)が確認できる前に流産してしまうことです。医学的には流産の回数にはカウントされず、普段の生理のように処理されることが多いです。

流産が起こる主な原因

妊娠12週未満の流産の約8割以上は、胎児の染色体異常が原因です。これは受精の瞬間に偶然起こる運命であり、妊婦さんの仕事や運動などが直接影響するものではありません。

しかし流産を繰り返す場合や、12週以降の流産では、子宮の形やホルモンバランス、内分泌疾患などの母体側の要因が関係することもあります。これらは検査で確認できる場合があり、治療を受けることで次の妊娠の継続率を高められるため、前向きな医療相談が大切です。

また、母体の健康を守るためにも避けたい習慣は以下の通りです。

  • 重いものを持つ
  • 偏った食生活
  • 喫煙
  • アルコール摂取
  • コンドームをしない性行為
  • 過度な運動
  • 無理な姿勢

気を付けたい症状

流産の兆候として多いのが不正出血と下腹部痛です。

症状の程度対応の目安
少量の出血・軽い鈍痛安静にして、診療時間に病院へ相談
激しい腹痛すぐに病院へ連絡
鮮血や多量の出血すぐに病院へ連絡

少量の出血、軽い痛みであれば翌診療時間の病院への相談で問題ない場合がほとんどですが、痛みが強くなる場合や出血が多い場合などは緊急で対応する必要があります。

流産確定後の治療法

自然に排出されるのを待つ(待機療法)

通常、妊娠が継続できなくなると、生理と同様の仕組みによって数日から数週間程度で胎嚢などの子宮の内容物は自然に体外に出されます。これを自然に待つのが待機療法です。手術による子宮へのダメージが生じるリスクがない一方、いつ排出が始まるかは分からず、排出時に強い痛みや多量の出血が生じるリスクもあります。

手術で内容物を除去する(子宮内容除去術)

手術により、人工的に子宮の内容物を取り出す方法です。日帰りもしくは一泊二日で行います。静脈麻酔により、手術は眠っている間に終わります。短時間で確実な処置が可能です。待機療法では避けられない大量出血のリスクを抑えられます。

よくある質問と回答

いつから仕事や日常生活に復帰できますか?
    体調や仕事内容によりますが、一般的には手術や処置の後、数日から1週間程度の安静が推奨されます。無理をして心身に負担をかけると回復が遅れることもあるため、主治医と相談しながら無理のないペースで戻りましょう。
生理はいつごろから再開されますか?
    個人差はありますが、通常は1ヶ月から2ヶ月程度で最初の生理が戻ります。ホルモンバランスの変化により、時期や経血量が普段と異なる場合もありますが、あまりに再開が遅い場合は、念のため医療機関を受診してください。
次の妊娠でも繰り返す可能性は高いのでしょうか?
    一度流産を経験しても、次回の妊娠で無事に出産できる確率が大きく低下することはありません。流産の原因の多くは偶然の染色体異常によるものです。サイコロを振って同じ数字が連続で出ることがあるように、流産が続く確率はゼロではありませんが、そこには因果関係はありません。ただし、3回以上続く場合は染色体異常以外の原因が隠れている可能性がありますので、専門的な検査を検討し、原因に合わせた対策を行うことをおすすめします。

医師からのメッセージ

早期流産の多くは受精卵の染色体異常などの偶然によるもので、お母さんの生活や行動が原因で起こるものではありません。不幸にも流産に至ってしまったとしても決してご自身を責めないようにしていただければと思います。私たち医療スタッフは医学的なサポートを提供することはもちろんのこと、患者様の不安や悲しみに寄り添うことを大切にしています。どんな小さなことでも我々にご相談ください。

千葉西総合病院 産婦人科 幸本康雄

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