妊娠・出産

妊娠中の予防接種のおはなし〜接種するべきワクチンと避けるべきワクチン〜

そもそも妊娠中のワクチン接種はしてもいい?

妊娠中のワクチン接種、予防接種は受けていいのかダメなのかよく分からないという方も多いのではないでしょうか?まず、妊婦のワクチン接種はNGかというとそんなことはなく、むしろ接種を推奨されるワクチンもあります。

日本小児科学会では、妊婦にワクチンを接種することには、抗体が胎盤を通過して胎児に移行し出生早期の赤ちゃんを病原体から守ること、またママ自身の感染症への感染や重症化を予防することで赤ちゃんの発症を予防するという2つの意義があるとしています。

ただし、妊娠中の接種は避けるべきワクチンも存在します。今回は妊娠中の接種が推奨されるワクチンと避けるべきワクチンを整理してご説明します。

接種が推奨されるワクチン

妊娠中のママに接種が推奨されるワクチンは以下の3種類があります。

いずれも感染症に関して赤ちゃんの発症や重症化を予防する効果があり、特に百日咳とRS感染症は抗体がない赤ちゃんが感染すると重症化する可能性もある、気をつけたい病気です。

ワクチン名目的接種時期赤ちゃんへの効果
三種混合(DTP)百日咳予防妊娠27〜36週生後すぐからの重症化予防
RSウイルス(アブリスボ)RS感染症予防妊娠24〜36週(推奨:28週〜)肺炎・入院リスクを軽減
インフルエンザインフルエンザ予防妊娠中いつでも(16週以降が安心)ママの重症化予防+赤ちゃんの発症予防

※メーカーの出荷調整等によりワクチンの在庫がなく、当院では接種できない場合があります。

生ワクチンは接種してはいけません

ワクチンには、弱毒化した生きた細菌やウイルスを使った「生ワクチン」と病原性をなくした細菌やウイルスを使う「不活化ワクチン」があります。このうち「生ワクチン」は胎盤を通過して胎児に感染する可能性を完全に否定できないため、妊婦への接種は避けるべきとされています。

風しん、麻しん、水ぼうそうなどのワクチンは生ワクチンとなりますので注意が必要です。

また、生ワクチンを接種した後は上記の胎盤を通じた感染の可能性がありますので、2ヶ月程度の期間、避妊を行うことが推奨されています。

最後に

妊娠中に推奨されるワクチン接種はママの健康を守るだけでなく、生まれてくる赤ちゃんの命や健康も守ってくれる「最初のプレゼント」と言えます。医師と相談のうえで、適切なワクチンを適切な時期に接種することをおすすめします。

正しい知識と医師との連携で、安心で健康なマタニティライフをお過ごしください。